出生前診断(NIPT)でわかること。
受けるべきかお考えの方へ。
ダウン症、NIPT、出生前診断、羊水穿刺. . . 。
妊娠中、特に初期はいつも不安でいっぱい。生まれてくる赤ちゃんに異常はないだろうか。
インターネットにあふれている情報は残念ながら間違ったものや根拠のないものも含まれています。
今回は出生前検査についてお話しします。
【出生前検査とは】
出生前検査はおなかの中の赤ちゃんがなにか病気をもっているか(先天性疾患)を調べるために行います。
出生前検査によってすべての病気がわかるわけではありません。
また、通常の妊婦健診の中で行う検査と違ってすべての妊婦さんが受ける検査ではなく、受けないことで妊娠・出産に際して困ることはありません。
そして興味本位ではなく、万が一、赤ちゃんに異常が見つかった場合の対応も主治医の先生とよく相談すること(カウンセリング)が大切です。
赤ちゃんの生まれながらの異常・先天性疾患について
生まれた赤ちゃんに何かしらの異常(先天性疾患)が見つかる確率は3〜5%です。
そのなかには日常生活に全く影響がなく治療の必要もないものから、命にかかわる重大なものまで含まれています。
また、生まれた時には分からなくても成長と共に現れてくるものもあります。
今回はその中で染色体の異常によって起こる病気についての出生前検査についてお話しします。
先天性疾患のなかで染色体の異常によるものは25%、そして出生前検査の対象となる染色体数的異常は18%程度、約2割です。
残りの8割は出生前検査ではわかりません。(エコーでわかるものもあります)
その2割のうち、ダウン症(21トリソミー)が53%、18トリソミーが13%、13トリソミーが5%です。
【出生前検査の種類】
出生前検査には『確定的検査』と『非確定的検査』があります。
『確定的検査』は赤ちゃんの細胞を直接調べて染色体疾患などを診断する検査で確実な診断を得ることができます。
検査は母体に針を刺して羊水や絨毛を採取する羊水検査や絨毛検査がありますが、わずかながら流産の可能性(0.3%程度)があり侵襲的検査と呼ばれています。
そのため一般的には『非確定的検査』で疾患が疑われた母体が対象となります。
『非確定的検査』は採血やエコー診断によるもので
があります。対象となる疾患は検査の種類にもよりますが21、18、13トリソミーです。
母体への負担はありませんがマーカー検査は確率で算出、NIPTも偽陽性(実際は陰性だが検査結果は陽性)が含まれるため、疾患を疑った場合は『確定的検査』を行います。
*NIPTによって、日本医学会と日本産科婦人科学会が認定した「認定施設」以外の「未認可施設」では21、18、13トリソミー以外の異常、ターナー症候群など性染色体の異常や微小欠失症候群など極めて稀な病気の診断も可能ですが対応について診断精度など問題になっています。
【遺伝カウンセリング】
出生前診断を行うにあたり、大切なことは検査前後に「遺伝カウンセリング」を受けることによって出生前検査についての情報を正しく理解し、赤ちゃんの状況を正確に把握し、将来を予測することにあります。
出生前検査は結果によっては妊娠継続に関わる重大な選択を迫られる可能性があり、赤ちゃんを迎える準備について熟慮する機会となります。
そのため、軽々しい気持ちで受検することは控えましょう。
また、結果が陰性の場合でも的確な説明を受けること、もちろん陽性の場合は主治医の他に小児科専門医、遺伝専門医をはじめとした各領域の専門医、助産師、心理職、遺伝カウンセラー、社会福祉関連職を含め、診断された疾患の詳しい説明のほか、高次施設への紹介、またご両親の心理社会的な支援など継続的なバックアップなど包括的な支援を受けることができます。
出生前検査を行う場合、検査自体は採血のみで、検査施設から結果が伝えられますが、陽性であってもただ結果を伝えるだけで、なにより大切なカウンセリングの全くない施設も多く大きな問題となっています。