NIPT受診ご希望の方へ
当院は日本医学会、日本産科婦人科学会の定める認証施設です。
認証施設と非認証施設
NIPTを検査できる施設に「認証施設」と「非認証施設」があるのをご存知ですか。
認証施設
認証施設とは当院の近隣ですと愛育病院、慈恵医大、昭和大学、日赤医療センターといった、日本医学会、日本産科婦人科学会、出生前件週認証制度保等運営委員会の定める厳格な規定に準拠した基幹施設と、当院のように基幹施設の関連施設として各学会の認可を受けた施設で、ともにNIPTで検査できる項目はダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3項目です。
基幹施設
基幹施設は施設内でNIPTの実施と検査後の分娩まで必要となる全てに対応することができる施設です。基幹施設は産婦人科専門医だけではなく、小児科専門医、臨床遺伝専門医、助産師、保健師、看護師、心理職、認定遺伝カウンセラー、社会福祉関連職、ピアサポーターなど多職種連携によって、妊娠、出産のみならず総合的、継続的に家族をサポートしてゆくことができる体制が整っています。
連携施設
連携施設はNIPTに関わる診療について常に基幹施設(当院の場合は愛育病院)と密接な連携をとり、実施したNIPTの個々の事例の情報を統括する基幹施設に定期的に報告します。
最も大切な遺伝カウンセリングに関して、検査前のカウンセリングは連携施設で行います。結果が陰性の場合は連携施設で検査後カウンセリングを行いますが、陽性の場合は基幹施設で総合的なカウンセリングを行います。
当院では愛育病院で出産予定の方はもちろん、NTT関東病院、東京品川病院などの近隣の病院、帰省分娩を予定されている方。またNIPT検査のみご希望の方も安心して検査を受けていただけます。
非認証・未認証施設
非認証・未認証施設は日本医学会の認証を受けていない施設で、インターネットで「NIPT」「出生前診断」で検索するとアップしてくるサイトのほとんどが非認証・未認証施設で、現在全国でNIPTを行っている施設数は認証施設より非認証・未認証施設の方が多いのが現状です。
非認証・未認証施設での検査の結果はほとんどの方が陰性なので、結果的には問題にならないことがほとんどですが、陽性になった場合様々なトラブルが問題になっています。ではトラブルの原因、未認可施設でNIPTを受けるデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。大きく2つあると思います。
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01 21、18、13トリソミー以外の染色体異常を調べることができてしまう。
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02 検査結果の告知が「陰性」「陽性」のみで、大切なカウンセリング体制が整っていない。
①の「21、18、13トリソミー以外の染色体異常を調べることができてしまう。」です。え、いろいろわかった方がいいんじゃない?そうです非認証・未認証施設は3疾患以外のトリソミーや微小欠失症候群、性染色体の異常も調べられるということを“売り”にしていますが、多くの疾患を調べられれば良いというものではありません。『染色体疾患』【その他のトリソミー】でお話しした通り3疾患以外のトリソミーは通常流産してしまいます。
また微小欠失症候群は診断には通常の羊水検査では診断できません、そして微小欠失症候群の症状は様々で症状もなく、お子さんを持たれるかたもいらっしゃいます。お子さんに異常が見つかり、染色体検査をしてはじめて本人の染色体異常がわかる場合もあります。それは検査をした時点ではわかりません。そのため海外の学会も我が国と同じく微小欠失症候群などをNIPTの対象としていません。【欠失】
以上の理由で「たくさんわかればいい」というものではありません。つまり、出生後なに不自由なく生活できるはずだった胎児を中絶してしまう危険性があるのです。
では②の「カウンセリング体制が整っていない」とはどういうことでしょうか。
ほとんどの非認証・未認証施設では結果の通知が「陰性」「陽性」のみの郵送か、簡単な明(カウンセリングではありません)を受けます。担当するのは遺伝の専門医ではなく「医者」、どうも産婦人科以外の医師のこともあり、さらに間違った説明をされることもあるようです。
NIPTを含めた出生前診断で重要なことは妊婦さんと家族が納得して検査を受けられるように、「受容」「傾聴」「共感」の意識である“カウンセリングマインド” を持って検査前後にしっかりとしたカウンセリングを行うことです。
検査が陽性の場合、特に疾患が確定したときには専門の臨床遺伝専門医を含め家族に正確な情報を伝えカウンセリングを行うことが極めて重要です。『出生前検査』【遺伝カウンセリング】
非認証・未認証施設でのNIPT結果が陽性の場合、ご自分で専門施設を探すか、健診に通っている先生に紹介してもらうことになります。いままで2人が未認可施設で陽性の診断のため愛育病院をご紹介して1人はダウン症でしたがもう1人は偽陽性で異常なしでした。
当院に先日ある方が妊娠中絶希望で来院されました。お話を聞くと非認証・未認証施設でNIPTを行い性染色体の異常(認証施設では対象外です)の疑いとの結果で、担当医から羊水検査の話もなく「多分確定なので中絶を勧めます」とのことで中絶を希望するとのことでした。ご存知の通りNIPTでは偽陽性が存在するために羊水検査による確定診断が必須で、また性染色体の異常は日常生活では全く問題にならないこともあります。それを中絶するなんて、、、絶句してしまいました。
- 高齢の妊婦
- 母体血清マーカーで染色体数的異常を有する可能性が示唆されて妊婦
- 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある妊婦
- 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆される妊婦
- 胎児超音波検査で胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された妊婦
が挙げられていて各項に該当しない妊婦さんは検査ができないから、非認証・未認証施設で検査をしましょう。とのふれこみですが、これはあくまでも原則論で(たしかに以前は35歳以上のしばりがありました)現在は希望される妊婦さん全てに検査可能です。
以上のことからNIPTは必ず認証施設で受けるようにしてください。未非認証・未認証施設(内科や美容科、AGA:増毛のクリニックが検査を行っているなんてのもあります)でのトラブルは件数が決して多くないのでネットでは分かりにくいのですが、不必要な中絶など深刻な問題となっています。多額の宣伝広告費をかけて大々的にコマーシャルしているクリニックもあります。まず、健診をしている施設の先生に相談してみてください。